猫保護活動について 里親さん募集のハウツー

官庁「お墨付き」NPOに飼えなくなった猫を託して大丈夫?検証報告

2017/03/19

※特定のNPOを攻撃する意図はありません。切羽詰まった里親募集者様や里親詐欺に関心のある方、保護活動をされている方に、少しでもお役に立てば良いなと思って書きます。(後日追記あり)

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free by Paulo Valdivieso

 

 

【検証の経緯と動機】

猫好きSNS「ネコジルシ」の里親募集コーナーで、
「急募」「里親さんが見つからなければ保健所ゆきもやむなし」という
切羽詰まった募集を見てしまいました。

うちの子猫たちと同じ月齢、どこか似ている顔つきに胸が痛み、
おせっかいながら、募集されている方に、里親募集についてのアドバイスなどをメッセージさせていただきました。

許可をいただいたので、そのサイト内の日記でその里親募集を紹介させていただき、
「この方の力になれる保護団体などをご存じの方がいましたらお知らせください」
と書きました。
その地域で活動されているボランティアさんなどから情報が得られたらいいなという意図でしたが…

日記を読んでくださった方から、
「こんな団体もあるようですよ」と教えていただいたNPO。
(気にかけてくださって、わざわざ探してくださったようです。どうもありがとうございます!)
そのNPOのホームページを見たのですが、どうも不安が…
検索で見つけやすい=他の方の目に触れることも多いだろう団体と思います。

正当な活動をしていても、ホームページで不安を抱かせてしまうのは損ですね…
ホームページやサイトを公開するなら、見る人の印象を重視した内容にしないと意味がないです。
活動メインで、時間と人手に余裕がないところも多いと思いますが…
「ボランティア」「保護活動」「市民運動」
これだけでアレルギー反応を起こす人もまだまだ多いのですから、
世間の理解・認知度を上げて支援を得るためにも、広報は重要な活動と考えていただきたいです。

 

里親募集主さんには一応お知らせしましたが、紹介してしまった責任上、
できる範囲で調べてみることにしました。

 

【官庁への問い合わせ】

ホームページの各ページ上部に、登録番号?と監督官庁として、
○○県動物愛護センター○○支所 担当者名○○○と記載されています。
そこで、○○県庁、○○県動物愛護センター○○支所(支部は誤記とのこと)に電話で問い合わせました。
問い合わせ理由も伝えました。
「ここを信頼してもいいかどうかを知りたい」と。

県庁担当部署では、「○○支所にお問合せください」と言われ、
○○支所では「NPOについては県庁の管轄になるので、そちらへ”NPO登録の件で”と伝えて担当部署に回してもらって」と言われ、
県庁NPO登録管轄部署では、その団体がNPOとして登録されていること、
NPOの公開情報の見方までを教えていただきました。

 

【公開情報を見てわかったこと】

公開情報に記載されている内容は
「所轄庁」「住所」「代表者名」「法人認証年月日」「目的」「活動分野」「定款」「設立の時の財産目録」
でした。
定款には3人の役員、3人の理事、1人の監事の名、
役員総数の3分の1以下の人数には報酬がある、
入会金と年会費それぞれの金額などが書かれていました。
団体の代表者である理事長と、ホームページに書かれている代表者名は別の人でした(監事)

活動実績=NPO登録からの実績ではありませんが、
ホームページに大きく記載されている「21年」と登録年からの年数はまったく違っており、
まぎらわしい表現ではないかと思いました。
(別記でNPO登録年も記載されてはいますが…どちらが目を引くか?)

 

【活動内容の監査は行われているのか?】

上記までは確認できましたが、活動の具体的な内容は行政では監察していないそうです。
健全な運営を行っているか監査する組織があるとしたら民間に存在するのかもしれないがわからない、
行政としては不正に助成金を受けているという通報には対応できるが、
怪しいかもしれないと言われても動けない、
NPOにも助成金を受けて活動しているところと、
助成金なしで寄付などで活動しているところがある、とのことでした。

【NPO・NPO法人とは】

NPO=「非営利団体」
様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し、収益を分配することを目的としない団体の総称。
収益を目的とする事業を行うこと自体は認められるが、事業で得た収益は様々な社会貢献活動に充てるものとする。

「特定非営利活動法人(NPO法人)」
NPOのうち、特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人。

NPOは法人格の有無を問わず、様々な分野(福祉、教育・文化、まちづくり、環境、国際協力など)で、社会の多様化したニーズに応える重要な役割を果たすことが期待されています。

(以上、内閣府NPOホームページ記載内容を少し短くリライトしたもの。
引用元:http://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/npoiroha

 

【ホームページから受ける違和感】

ホームページの各ページ上部に「お墨付きです」と言わんばかりに
NPO登録番号や監督官庁・支所・担当者名が記載されているのは、行政の指導と一致しないそうです。
実際、行政に問い合わせても「正規の手続きを踏んで登録されている」以外のことはわかりません。

全国を対象に受け入れ可能とアピールしていること、
自分で現地まで届けに来られない場合は空輸やトラック便で送ってもいい、
という表記にも違和感をおぼえました。
飛行機を利用するお客様から預かったペットでさえ、航空会社が気をつけて扱っているにも関わらず、死んでしまうことがあるそうです。

快適で安全な空旅のために|ANA

動物輸送(国内)|ANA Cargo

殺処分をなくすことを目的に活動している団体が、動物に負担のかかる輸送方法をあっさりと可能としているのは、どう考えれば良いのか…
「どうしても飼い主さんが届けに来られない場合は、ペットの心身へのリスクがあるけれど、空輸やトラック便での輸送も最終手段として提案している」なら、しかたないかもしれませんが…
そんな目に遭っても、捨てられる・殺処分されるよりは良いのでしょうか?

捨て猫・捨て犬を防ぐため住所は公開しません、とホームページにあります。
公開情報まで見れば登録の住所はわかりますが、収容設備の住所と同じとは限らない。
たしかに、無制限に捨てていかれても飼育のキャパを越えるでしょう。
お問合せはメールのみで、電話番号も非公開、これは嫌がらせや冷やかしを警戒して?

問い合わせメールには、10項目の記入が必須、それを満たさない問い合わせには返信しない、
と明記されています。
猫の種類/性別/年齢/体重/性格/健康状態(ワクチン接種状況又は持病) /去勢&避妊手術済みかどうか/飼われていた環境(室内飼いか外飼いか)/飼えなくなった理由/飼い主の氏名・年齢・住所(番地まで) +可能なら写真も添付が望ましい
コピペは避けますが、これが10項目+1です。

たしかに、嫌がらせや冷やかしに対応する労力は割きたくないでしょうが、
電話番号も住所も公開せずに、個人に先に個人情報を要求する法人って…?
というのが、正直な印象でした。

飼えなくなったペットを有料にて引き取り、里親募集または終生飼育します、
とありますが、
肝心の料金については、まったく記載されていません。
問い合わせなければ何もわからず、
個人を特定する情報を提供しなければ問い合わせにも応じない方針。

少人数で細々とやっているところなら「対応できないものはカット」せざるを得ないと思いますが…
全国から受け入れ可能とPRしており、収容施設も立派そうなのに…

また、ホームページのタイトルが検索上位表示を狙ったものとなっています。
ブックマークしてみるとわかりますが、キーワードてんこ盛りの長いタイトル。
検索して問い合わせしてほしい、という目的を感じます。

ホームページ全体から受ける印象も(タイトルも)
「全国の飼えなくなったペットの受け入れします」がメイン。
肝心の里親募集や終生飼育については、全国から受け入れている割に、スペースが少ない…
そう思いました。

そして、なにより、ホームページではNPO法人の正式名称がわかりません。
どこかに書いてあるかもしれませんが、普通に見て団体名がわかるように書かれていません。

 

【検証後のとりあえずの結論】

1.監督官庁名表示だけでは安心できない。

切羽詰まった里親募集主さんは、
監督官庁名があるNPOだという理由だけで安心して、大切なペットをゆだねてはいけない、
ということだと思います。
困っているところに「うちなら対応できます!」と言われると頼りたくなりますが、
悔いが残らないように、よく検討することをおすすめします。

それ以前に、自分で届けて実際の活動を見ることができないような団体に、
トラック便や空輸で家族の一員だったペットを送るようなことは…
しないでいただきたいと思います。

※追記
ペットの空輸については、長年の経験のある保護ボランティア団体が採用している場合もあります。
安全性を確保しつつ空輸・長距離輸送できる方法があるのかもしれません。

参考リンク:ペット 空輸 方法 - Google 検索

 

2.NPOやボランティアは、誤解を招かないだけの活動報告や広報も重要。

ホームページでは、
◇誠実な書き方をすること、
◇知識の少ない一般の人が見てもわかりやすくすること、
◇正確なデータや報告を書くこと
これが大事だと思います。

今回、検証を行ったNPO団体が、設立目的と一致しない活動を行っていると言い切れるわけではありません。こんなことも想像できます。

活動だけで手いっぱい、人手不足、インターネットに詳しくない、
自分たちの活動は正しいもので多くの人に歓迎されるはずのもの、
疑われることがあるなんて予想だにしない…
そんな理由で、ホームページ制作業者に
「とりあえず多くの人に知ってもらえるように作って!」と外注。
その際、活動の具体的な内容や趣旨を伝えきれていない。
請けた業者は普通のお店や企業ホームページを作る時と同じノリで
「目をひくキーワードを散りばめ、色をつけたりフォントサイズを大きくして目立たせる」
「とりあえず購買(この場合は問い合わせや会員登録)に引っ張り込むような表現」
「そのためには、嘘ではないが正確でもないことも書いてもいい、みんなやっている」
「行政の指導通りではないが違法でもないことは書いてもいい」
そんな感じで制作してしまったのではないか…
 
「プロに作ってもらったホームページだから、これでいいはず!」
と思い込んで、まっさらな目でチェックすることもなく、公開。
更新も自分たちではうまくできない…

 

インターネットやPCに慣れていない人にとって、ホームページ運営は大変な作業です。
内容をチェックしきれない、更新も思うようにできないのであれば、
いっそシンプルな内容のほうが、よけいな疑いも抱かれないかもしれません。
団体の活動の趣旨と連絡方法を書き、
あとは日々の活動ブログを地道に続けていくほうが、
まだしも地道に誠実に活動・運営している印象になるのではないかと思います。

猫の保護活動をするために、インターネットやホームページ運営の勉強をする。
実際に猫を保護に行ったり病院に連れて行ったり世話したりできなくても、
里親募集を担当するとか、ホームページ制作や更新を担当するとか、
そんな形での支援もあっていいんじゃないかな…と思います。
それなら、体が思うように動かせない人でも自宅でできますし。

 

【おまけ 一般の人の感覚を思い出すことも大事】

長くなりすぎてしまったので、別の記事に分けます。

猫保護活動ボランティアは一般人への歩み寄りも必要

 

【追記】

犬や猫の「引き取り屋」「引き取り業者」と呼ばれる団体や企業があるようです。
需要があるから成り立つのでしょうが…
繁殖して売れなかったブリーダーやペットショップ、
飼い主さんが入院やお亡くなりになるなどして、その子に愛情を持たない人が行き場を探さなければならない場合などでしょうか。
なかには、適正飼育ができていないこともあるようで…

参考記事:
「引き取り屋」という闇 「殺さずに、死ぬまで飼う。ペット店には必要な商売でしょ」 - トピックス | sippo(シッポ) ペットのための情報・サービス

上記と同じ記者さんの記事をもう一つ。

「犬の引き取り屋」で生き、死んでいく犬たち 「不幸」の再生産を止めるため、求められる二つの施策(太田匡彦) - 個人 - Yahoo!ニュース

ほかにも「ペット 引き取り屋」「ペット 引き取り業者」などのキーワードで検索すると、いろいろと出てきます。

 

大切なペットのために、「自分が面倒見られなくなった場合にどうするか」、
早めに検討して準備しておく必要がありますね…
引き取り業者のすべてがひどい扱いをしているとは限りません。

それなりのお値段するのでしょうが、飼い主のいない愛護動物のためのシェルターや、ペットと同居できる老人ホームも出てきています。

動物の保護施設、犬と猫のシェルターについて | PECO(ペコ)

公益財団法人日本アニマルトラスト-動物の孤児院ハッピーハウス-

ペット・犬・猫の有料老人ホーム・介護施設一覧|みんなの介護

飼えなくなったペットを里親さんでなく保護団体に託す場合は、
決める前に見学に行き、よく説明を受けるなどして、納得のいく行先を選ぶことが大切です。
「家族だから、遺族だから、しかたなくペットの行先を探している」
という方も、とても大変なことですが、
どうぞ大切な方が可愛がっていたペットの行先を、よくご検討ください。

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